増え続ける老朽化デフレ物件、本当に需要はあるのか

London_mansion
中古物件もこういう素敵な感じならアリなんですけどねぇ(Photo:gdiazfor)

今年に入って首都圏郊外の激安物件の話題をよく目にします。都内で500万円以下で買える物件が多く出ているらしく、すさまじいデフレを感じますね。まあ人口減、少子高齢化社会なのに五輪見越して都内にはバンバン新築立っているわけだから当然、ちょっと郊外行けば物件余りになってくるのは火を見るより明らかです。

文字面で読んでるだけではどんな物件かわからないし、正直買う人なんているのかなあと漠然と考えていたのですが、最近はニュース番組や情報バラエティなどでも取り上げられているので、生の物件情報を見ることができました。

多くは都心から電車で60分前後あるいはもう少しかかる場所にあり、だいたい最寄り駅から徒歩20分以上とかバスで15分かかるところに立つ、築30年とか40年といった公団マンションが中心。価格は300万円台とかめちゃ安で100万円台なども!

確かにお買い得価格になっているのは間違いないのですが、問題は中身。住んでいた方がすでにリフォームされている場合もあるようですが、先日ニュース番組で紹介していた本厚木の物件などは、日当りはすごくいいし、眺望もいいのですが、お世辞にも良い状態とは言いがたいもの。壁が汚いし、水回りはいまどき見たことがないくらいの古い設備。ステンレスは錆び錆び。トイレもう〜ん、用を足したくない。。。そんな感じで、確か380万円くらいだったかと思いますが、住むならリフォームは必須でしょうねぇ。4階建てでエレベーター無しというのも安い理由のひとつ。

(別の物件をリフォーム代込み400万円台で)実際に買った方がインタビューに答えていましたが「一生住むとは思ってないので、この値段ならまあいいか」といったご様子。20年ローンで毎月の支払いは2万円強。ちょっと景気がよくてボーナス、バンバン!ともらったら割と早くに払い終われるような金額。
多様性には割と寛大な方だと思うので何も文句もないのですが、私個人としてはなかなか選択しづらい物件です。

こうした公団マンションにこれまで暮らしていた高齢化したオーナーたちはもう少し便利の良いところへどんどん引っ越していくでしょう。そのため、多くの空き室が出てくるでしょうね。そう思うと住むにはさびしく不安な気持ちが先行します。
無責任発言ですが、もしかしたらまだまだ下がっていくかもしれません。

実際にどのくらいニーズがあるのかわかりませんが、単にリフォームしただけでは駅から遠く、エレベーターがない寂しい町で暮らすというのは付加価値がなさすぎると思うのです。

都内でも趣味人向けマンションやシェアハウスがありますが、そうした付加価値をくっ付けて売り出すというのは難しいのでしょうか。敷地内に自由に使っていいアートスタジオがある、防音設備の音楽スタジオがある、ゴルフの打ちっ放しができるところがあるなどの趣味型マンション、一軒につき、家庭菜園スペースが付いてくる、作った野菜を買い取ってもらえる農業体験付きマンションなど、棟ごとそういうスタイルにしないといけないし、土地はあるのか、共益費は?などさまざまな課題はあると思うのですが。

あるいは、エネルギーがある若い人たち向けに何戸かを一斉に売り出し、マンション全体をカルチャーの発信場所として使ってもらう。いま地方でベンチャー立ち上げをやっている人たちがいますが、そういう需要喚起はないでしょうか。さびしくなりつつあるエリア全体の活性化になるのかもしれないですね。

都心でも老朽化したマンションのリノベーション物件で人気のあるものを多いと聞きます。郊外になると中高年以外がわざわざ(デフレ)物件を選びにくるというのはないでしょうから、ある程度若い世代に販売していくことになりますが、単なるリノベーションではなく、高付加価値ならぬ別次元の付加価値を考えていく必要があると思います。

今日1/31の日経にこんな記事がありました。
「東急ハンズと団地活性化 UR:収納用品使い大幅改修」
都市再生機構(UR)は東急ハンズと連携し、横浜金沢区の物件の活性化策に取り組むとのこと。築35年以上経過した賃貸物件にハンズ取り扱いの収納用品や机などを入れて大幅に改修。室内空間の利用方法を提案し、入居率向上を狙う。壁紙などは30パターンの中から入居者が選べる。

すでにアパレルブランドやインテリアメーカーがデベロッパーと協力し、ライフスタイル提案をするような新築物件がありますが、URとハンズのような取り組みなどもリノベーション方法のひとつとしてはおもしろいですね。郊外のリノベーション物件がポップカルチャー発信基地みたいになっていくと楽しいのですが。。