幸せを感じる「旬」感

それはまぎれもなく、旬の美味しいものを食べることでしょう。
誰も異論はないはず。

最近、四季が薄れてきた感がある日本の気候。
でも、食べ物はちゃんと季節に応じて食べられる。
いつまでも健康でなんでも食べられることはこの上ない幸せだと思う。

中でも日本の「旬」を味わえることは最高の幸せ。
9月の初旬に食べた多摩川梨もうまかったが、秋刀魚はやはり秋の食材の王者かもしれない。

先日、目黒で食べた秋刀魚の土鍋ごはん(目黒のさんま祭りではない)。
コース料理で「〆は土鍋ごはんです、今日は秋刀魚です」と言われていたが、メインのお肉が出た後、もうダメ、食べられない。と思っていたのに、この土鍋を見せられ、やる気に。一口食べてもっとやる気に。結局2膳たいらげてしまいました。
「旬」は罪です。

ちょっとした心遣いと提案でいっそう強くなるロイヤリティ:お肉屋さんからの一本の電話

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(Photo:Gabby Orcutt)

常連となっているお肉屋さんの対応に感激したので書いてみます。
常連と言ってもお店があるのは四国・高松。香川県内に3店舗ほど持っているのでまあまあ中堅といったお肉屋さんですね。きっかけは確か12〜3年前に知人に教えてもらって行ったこと。クリスマスのチキンとかチャーシューを買いにいったのだと記憶してます。
美味しかったのでその後も何度かリピート。

何度目かにしゃぶしゃぶ用にと豚肉を買いに行ったとき、「豚肉好き?」と聞かれ、「うん、美味しいのある?」と聞くと「薩摩美豚」という豚肉を教えてくれました。以降、我が家は豚肉と言えばこの「薩摩美豚」。しゃぶしゃぶのみならずとんかつ用も生姜焼きも何でもこの豚肉。とにかくあっさりしていて旨い。
あまりに気に入ったため、義理の父母や親戚にまで送ったりしていたほど。
それにお店に買いに行くと、いろいろお肉のことを教えてくれて、いつも買うもの以外の棚を見ているとほんの少し試食用に入れてくれたりするのです。

そんなお気に入りのお肉屋さんでしたが、一家は9年前から高松を離れることになり、お店に買いに行けるのは年に1度か2度帰省時にお邪魔する程度。あとは電話でオーダーしたり、私の母親が買いに行ったときに、うちの分まで送ってくれる、そんな付き合いが続いてます。最近は特に購入頻度、いわゆるフリークエンシーは落ちています。
まあ、顧客名簿持っていて、CRMを回しているという感じではないのでしょうけど、一昨日の夕方、そのお肉屋さんの女将さんから電話がありました。

突然のお電話だったので何だろう?と構えてしまったのですが、内容はこういうものでした。
「今夏はお見かけしてないから自分が店番してないときにお越しいただいてたならごめんなさい」というご挨拶から始まり、「実は大西さんにずっと気に入っていただいていた薩摩美豚の仕入れをやめることになり、きちんとそのお詫びがしたかった」という。「わざわざ、そんなのまた行ったときにお話してくれたらよかったのに」というと、「いえいえ、あんなに気に入ってもらってたのに申し訳なくて。」と。
まあここまでの電話でも結構ありがとうございますって言いたいものですが、女将さんは「これまでも扱っていた鹿児島黒豚の六白に加え、オリーブ夢豚を扱う予定です。大西さんの好みならこのオリーブ夢豚が合うと思いますので、一度お試食用に送りたいのですがいかがでしょうか。お代は要りません。それで気に入ってもらえたら次からはそのお肉でいかせていただきたいと思ってます。本当にこのたびは申し訳ないことを…」ということでした。

いかがでしょう。私は実に気持ちよかった。
接客のプロやCSのプロからすると、そんなの割と当たり前じゃないか、というご意見もあるかもしれません。
が、次に帰省した際、お店に寄り、いつものように薩摩美豚を注文して「ああ、あれはやめたんですよ」と言われてがっかりする、あるいはそれがきっかけで疎遠になる、そうして離反していくことを考えると、事前に常連に対して不利益を詫び、その上できちんと代替案を提案する。しかもそれがお味見(お試食)という形で無償で届く。悪い気はしませんよね。この一本の電話によって常連顧客は離反せず、もしかしたら落ちていたフリークエンシーも回復する可能性があります(客観的に述べてますがwww)。
最近はオンラインショップも始めてるみたいですが、このお店は女将さんがいる限り、直接行くか電話で注文を続ける気がします。

次回、帰省時にあの女将さんに会うのが楽しみになりました。