Amazonは大好きだけどダッシュボタンはもう押さないでおこう

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まず最初にお断りしておきますが、この記事はAmazonを批判するものではありません。
私はAmazonが大好きですし、ヘビーユーザーです。それは今後も変わらないでしょう。
でも、ダッシュボタンは押すべきではない。

アフリカで象がくしゃみをするとニューヨークで津波が起こる。
そういう話に近づいている気がしてならないのです。私がダッシュボタンを一回押すだけでドライバーさんが悲鳴をあげる。そういう感じです。
インターネット通販の拡大に合わせて問題となった物流会社の人手不足問題がもはや一部の人の問題ではなく、消費者一人一人がちゃんと考えないといけないレベルになりつつあるということでしょう。

Amazonがダッシュボタンを発売したのが、昨年12月。
喜び勇んで「消臭力」のダッシュボタンをオーダーしたものの、家にはストックがあり、押す機会がなかったのだが昨日ようやく押すことができた。
そして、ブツが届き、箱を開けた瞬間、ダッシュボタンは押せないなと感じたのです。

写真にある通り、荷姿としてはダンボール箱に消臭力たった1本。
届けてくれた〒のおじさんの顔が少し脳裏をよぎった。
「この1本のためにほんとごめんなさい」これが箱を開けた瞬間に出た正直な感想。
まあ、ボタンを押したときからすでに予想はついていた。
さらに言うと、ダッシュボタンを押す前に、またひとつ荷物がAmazonから届くんだなあと思っていたのも確か。

実は我が家にはこの一週間で3度Amazonから荷物が届いている。
昨年末あたりから毎日のように目にする、宅配便の人手不足、物流改革関連の記事。
私もEC事業に携わる身である。そんな身でありながら宅配の数を増やす消費行動をしていることは反省しなければならない(と、思う)。

Amazonは便利だし、イノベーティブだし。いちいち凄い。
そんなAmazonだが、利用することで社会に害を及ぼしているなら少し控えることも考えねばならない。
これはAmazonだけに限った話ではなく、他のEC/通販も同じです。
便利だからとポチっとしているものの多くは、会社の帰りに本屋へ行くか、家電量販店やスーパー、ドラッグに立ち寄って帰れば済むものが多い。
実際、消臭力も歩いて3分のところにあるマルエツで買えるわけです。
もしかしたらAmazonやヨドバシより安い可能性だってある。

私はかつてカタログ通販企業に14年半在籍していました。
当時の通販企業は、割引、送料無料、サービス開発(決済手段の導入、配送利便、返品交換利便など)で顧客を開拓してきた。
直接商品に触れられないビジネスモデルの通販企業にとって、購入のハードルを下げるには、商品そのもののクオリティよりも(こういうサービスが便利だから)買ってみようかなと思っていただくため、顧客が離反しないためのサービス企画が非常に大事だった。
気づいたら各社サービス競争の渦に巻き込まれていました。Amazonが台頭する以前に(配送スピードはこれほど早くなかったものの)、サービス競争激化でお客様にとって当たり前感覚のサービスは増えていたのである。通販の成長とともに。
以前は注文して、一週間くらいふつうに待っていたものだ。それが今や・・・。
そして、一度甘やかされた顧客はもう昔の状態に戻れない。

事業者も消費者も一度冷静になって考える時期が来たようです。
何が大切なことなのかを。

便利だからと言って、すぐ届くからと言って、いたずらに何でもAmazonや他のECで買うのは辞めようかなと思ってしまったダッシュボタンからの開封の儀でした。

新たなスタート、掲げたのは「心地良いショッピング体験」

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photo by Josh Felise

本日3月1日から私が所属する会社は新しい期が始まったと同時に、私自身、新部門としてのチャレンジもスタートしました。
EC事業だけではなく、横串で全社のデジタル戦略を考えていくチームも新たに作り、チャレンジしていくことになりました。
新組織の名は「デジタル戦略部」。
私の友人筋にとってはまったくと言っていいほど目新しさがない部署名ですが、あえて「デジタル」と冠したのには「当社はこの部分で遅れている。経営課題は今ここにあるんだ、みんなちゃんと理解してください」という経営サイドの意思が表れたものだと勝手に解釈しています。

先週、全店舗の店長たちが集まり、いわゆる全社大会的なものがありました。
そこで新部署の新部門長ということで挨拶をさせられたわけですが、私がみなさんにお話したのは次の通り。

目指すのは「心地良いショッピング体験の提供」その目標を実現するためには、会社が持つ経営資源や資産、つまり、従業員のみなさん、店舗、システム、ECサイトなどなどが自らの意志を持って有機的につながっていくこと。それが叶ったときに、お客様に満足のいく心地良いショッピング体験が提供できると信じています。結果、会社の売上と利益は最大化するのです。

その時にちゃんと理解してくれてた社員がどれくらい存在するのかわかりません。
本音を言うと、何かご質問はないですか?と壇上で聞きたかったのですが(笑)そういうわけにもいかず、挨拶を終えました。
ただ、その後の懇親会で、数名の方から「うちも変わるんですね」とか「大西さんと仕事がしてみたい」と言ってくれる方がいました。
お世辞にもそう言っていただけて響いた人はいたとホッとしています。

そして今日は他部署から新しくうちのメンバーに加わった方にメッセージを送りました。
みなさん、店舗中心のお仕事をされてた方ばかりで不安も大きいでしょう。
そうした背景もあり、心構えというか私との約束事として3つ挙げさせていただきました。

  1. 新しいことにチャレンジし、自己成長を遂げること
  2. 人の役に立つ人間になること
  3. 顧客視点を忘れないこと

なんだか、子供に言って聞かせるような内容かもしれませんが、異動のタイミングで、しかも完全なる未知との遭遇みたいな感覚になっている人にとって言えることは恐れずチャレンジしましょうということなんですよね。
面倒臭いこと満載な仕事が待っているのかもしれませんし、周りに「あいつら何言ってんだ」と言われかねない仕事かもしれません。それでも新しく作ったチームはあるゴールのために進んでいくしかありません。すべては「心地良いショッピング体験」の提供のために。

旧来型の小売業は未曾有の危機に陥っていると言っても過言ではありません。特に自社が提供する商品群は暮らしを豊かにするものが中心なので、お客様のお財布事情と心づもりに大きく左右されます。正念場が続く業界ではありますが、変革の時は今しかないと思ってますし、進化できない者は生き残れないわけで、新たなチャレンジにワクワクしながら、楽しんで仕事してみたいとあらためて思っています。

お客様も私たちもHAPPYに!

今後ともよろしくお願いいたします。
2016.03.01

EC事業への登用とか採用とか

NP通信での連載第3回がアップされました。

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本テーマ「EC時代を勝ち抜く人財育成と組織マネジメント」の最終話は「ECを成功に導く巻き込み型チームビルディングと人財育成のポイント」と題して、他部署からECへの登用者とのコミュニケーションや採用時のポイントなどを考えてみました。

本編最後にも述べていますが、ECと言っても運営するのは人です。
何かと便利なツールがあり、効率よく多くのことができるようになってもジャッジするのは人なのです。
そこをきちんと理解して組織を作って、事業と人の成長を考えていきたいものです。

このテーマは永遠に続く課題だと思いますし、多くの方と意見交換したい。
しばらくウォッチしていきます。