2017年を振り返る(みなさん、今年も感謝の一年でした)

Thankful
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2017年も残すところあと2日。
個人的に何かと気忙しい一年でした。課題も多く、潰せないまま年越しを迎えることにはなりますが、それでも満足度の高い一年になったと思います。
公私ともに多くの新しい仲間ができ、たくさんのお座敷(という名の飲み会)にも呼んでいただきました。

<1月>
現職に就いて2ヶ月、まだまだ小売の温度感がわからないまま、2年ぶりにゴルフを再開。これまでせいぜい年に5〜6回だったラウンドが、なんと年間24ラウンドも行くことになるまでに。。そのせいでランニング系からはかなり遠ざかってしまいました。
<2月>
福岡での「ダイレクトアジェンダ」というカンファレンスに始まり、後半は全店店長会。3月から組織が代わり、私も全社のデジタル戦略を統括することになり、考えないといけないことが倍以上になります。
<3月>
一人息子が小学校を卒業。リテールテックで小売をサポートするテクノロジーをいろいろ物色。
ロジスティック関連の面談も増え始める。
<4月>
51歳となり、息子は中学入学。
この頃からアパレル系の友人ができ始める。3月から新たに作ったチームのため、それまで見ていたチームへの関与が少なくなり、チーム内でいろいろとギクシャクすることが増えてきた時期。コミュニケーション量の大切さをあらためて気づかされた。
<5月>
沖縄・残波岬での「マーケティングアジェンダ」に参加。昨年末の那覇マラソン以来の沖縄。
とにかく沖縄はいいね。久しぶりにブランド/広告/マーケ系のカンファレンスに参加し、小売業に必要なマーケティングについて考えさせられる機会を得た。
<6月>
この時期はアルバイトの面接ばかりやってました。必要なときに人ってなかなか出会わない。そんなジレンマと戦ってましたね。一方でプライベートでは多くのアパレル、小売の方々とお会いできる機会が増えました。そして当月からいよいよ自社の成長にとって非常に大きなプロジェクトが始まりました。
<7月>
6月に始まったプロジェクトを見ながら新チームのほうのあらたな課題について多くのベンダーさんとの面談が始まった月。
夜は夜で飲み会多し(苦笑)
<8月>
母親の目の手術のため、実家の高松に。やはり故郷はいいものだ。
新たなチームのテーマはCRM、このCRMを私たちなりにどう料理していくか、そして、この考えをどうすべてのお店に根付かせるか、そればかりの毎日。
新チームメンバーや5ヶ月、ほんとに頑張った。考えたことが浸透していくには時間がかかるのですが、ここをないがしろにしては小売は伸びない、そんな思いの強かった夏でした。
<9月>
仕事ではチーム内にタスクフォースを作り、スキルアッププログラムを実施。この頃はとにかくチーム全体の経験値とスキルをどう上げていくかが課題でした。
夏場から続くゴルフラウンドが結構楽しく、同級生ともラウンド、ベストスコアが出たのもこのころで充実の秋。
<10月>
会社にとって非常に重要な戦略立案の月。
これまでの数ヶ月にインプットしてきたことと自分自身の持てる知見と経験を合わせて、方向性作り。なかなか手ごたえのある時期でした。
<11月>
1年ぶりにネットショップ担当者フォーラムに登壇。
昨年はモデレーターとして、今年はパネラーとして物流セッションに。機会をいただいたことであらためてECの物流業務を見つめ直すことができた。
<12月>
大事な大事な予算会議。ECが成長のドライバーにならないといけないことはわかっていても、いまある課題を放っておいてその成長はない。その気持ちで作った予算。
そして、予算会議後は初開催の「リテールアジェンダ」へ。
小売業系カンファレンス、とてもとても有意義でした。

非常に簡単な振り返りしたが、この一年、私は本当に多くの仲間と新たに出会いました。そして、その仲間たちから多くのヒントをいただきました。ただ、私からの恩返しがまったく足りてない状態ですので、来年は多くのアウトプットで恩返しできればと思っています。
しかし、よく飲んでよく食べてよくゴルフした一年だった!

お世話になった皆さま、今年出会った新しい友人たちに感謝しつつ、明日から年末モードに入らせていただきます。
今年一年お世話になりました。
2018年もよろしくお願い申し上げます。

大西 理

Amazon、折込チラシで秋セール訴求、はたしてその効果は?

Amazonの折込チラシ

Amazonの折込チラシ

10月08日、日経を広げたら写真の「Amazon折込チラシ(上部が表面、下部が裏面)」が丁合されていました。
「スポーツの秋 クーポン割引キャンペーン10/8〜10/10」
私は日経しか取ってないので、この日、他の一般紙に丁合されていたか、また、どのエリアに配布されていたかはわかりません。
昨年、プライムナウのサービス開始告知に折込を実施していたと記憶してますが、Amazon本丸の折込広告については初めて見ました。
※twitter検索すると10/07に福岡在住の方が折込を見たと発信しているのを確認。

今回の訴求ポイントは、以下の3点
・特選タイムセール(3日間24時間限定)
・数量限定タイムセール(人気商品が数量/時間限定のお買い得価格)
・クーポン割引キャンペーン(クーポンコードで15%OFF、プライム会員はさらに5%OFF)

そして、Amazonなので当然、サイトへの行き方を紹介。
1. 検索ワード:「アマゾンスポ秋」
2. QRコード
3. アドレス直入力
以下のページに誘っています。

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いわゆる通販系折込チラシとは異なり、注文受付専用フリーダイヤルの記載もなければ、切り取って使う注文ハガキ部分もありません。
ECなので当然と言えば当然ですが、徹底してるなと思ったのは、そのクリエイティブ。
Amazon内のページをそのまま意識していると思しき表現。チラシなのに「カートに入れる」ボタンがそのまま使われているところ。

amazoncart
思わず笑っちゃいましたが、Web(EC)であることをちゃんと表現するためにあえて使っているのだろうと感心しました。

それではいったいこのチラシの効果はあったのでしょうか?
ちなみに私は土曜日にこのチラシがきっかけになってランニングシューズを購入したのでそういう意味では1件レスポンスがあったことは間違いないです(笑)
冗談はさておき、いわゆる通販折込と異なり、チラシのクリエイティブは大人し目。
「50代の方へ」とか「〜が気になる方へ」といった呼びかけはなく、不満、疑問へのアプローチや注意喚起といったこともない。
どちらかといえばスーパーのチラシに似た「セール」の案内です。

それだけに、今後を考えてどういうテストをしたかったのか、興味がわきます。
また、日経だけだったのか、エリアは上述した通り、福岡でもチラシが丁合されていた?との情報もあり、どんなセグメントだったのか。

今回の仕様はA2サイズ二つ折り、これまでの通販会社の常識で考えるとするなら、折込チラシのテストは5万部からせいぜい10万部くらいの範囲。
仮に80,000部配布されたとしましょう。その場合、投資コストは印刷/制作費込で部単価7円くらいと考えると、56万円の投下コスト。

そして反応率。
いま折込のレスポンスはどのくらいでしょうか。
よく見る化粧品や健康食品の折込チラシに比べ、Amazonの場合は電話もハガキもなく、お客さん自ら能動的にWebを覗きにいかねばならないので、スマホがあるといえ、少し低めと考えていいと思います。

0.03%か、0.01%かまったくわかりませんね。
仮に数字を設定したところであまり意味はないのですが、0.01%として、注文に至るのは8人。
売上がKPIならこの施策は破綻してます。では、狙いがガチで新規獲得だとすると? CPAは70,000円となり、これも破綻。
LTVを考えても8人が運良く継続的にAmazonを使い、年間6回稼働したとして@5,000として24万円です。
というわけで、今回の企画、折込からWeb誘導で50代以上が反応するのか、など別のKPIがあったのでしょう。

ただ、ひとつ疑問だったのは、効果測定がちゃんとできているのかどうか。
今回のキャンペーンはクーポンコードが設定されています。
お客さんが注文時にコードを適用させると、キャンペーンの効果は測定できます。
が、今回のコードはオープンにされており、チラシを見なかった人もこのコードを見られますし、使えます。
つまり、この方法だとチラシだけの効果を特定するのはむずかしいということです。

通販会社であればエリアと媒体を識別できるコードを必ず運用するはずなので、どのエリアのどの新聞からとかどの広告からを計測するようにしていますが、Amazonがそれを実施していないのはなぜか、疑問は残ります。もしかすると私にはまったくわからないような効果測定テストの方法があるのかもしれません。

いずれにせよ、Amazonの折込テストはこれからも続くのでしょうね。興味をもってウォッチしてきたいところです。今回の結果も知りたい!

ちなみに私は土曜日の昼前にこのチラシきっかけでランニングシューズを探しましたが、最初に欲しいと思ったものはキャンペーン適用外。あらためてキャンペーン適用の中からもう一度探して欲しいものを注文。
夕方には到着。翌日曜にはジョギング。スポーツの秋もAmazonで満足というコピーを私が発信する。
チラシを見て、すぐに行動に移せば、運動会に履いていくシューズだって届いてしまう。
そんな顧客体験を提供できることを広めていくことこそが狙いなのではないかと今は思ってます。

顧客体験の教科書(読後レビュー)

8月に読み終えるはずだった課題図書『顧客体験の教科書』をようやく読み終えました。
著者はグッドマンの法則でおなじみの「ジョン・グッドマン氏」、和訳はラーニング・イットの「畑中伸介氏」

本書はサブタイトル「収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方」が示す通り、顧客体験価値をいかに高め、ロイヤルカスタマーを創るか、そのための戦略論や方法論をはじめ、企業が取り組むべきことが事例を交え書かれています。

私自身は、これまで総合通販、メーカー、制作会社、単品通販という立場でEC/通販の実務とマネジメントを経験しており、当然のことながらCRM、UX、UI、CSという各単語が持つ意味を理解して、実践していたつもりですが、カスタマーエクスぺリエンス(CX)という考えのもと、事業が担うべき方法論をインプットしたことはなかったので、とても勉強になりました。

かなり広範囲に問題を挙げられていますが、おおまかな説明だけに終わらず、どういう解決策が良いのか、失敗事例、測定指標の考え方に至るまで書かれているので、自社の課題認識をきちんと持った上で読んでみると実践に向けての準備がすぐにできるのではないかと思ってしまいます。

しかし、正直、本書で書かれているようなことが実践的できている理想的な企業はそうそう多くはないと思うし、CXに(考えが)向いてない企業の中でこのフレームワークを実践していくのは大変でしょうが、これを従業員が理解し、少しずつでも実践していくことで、企業(ブランド)と顧客の関係性は必ずや変わっていくでしょう。

私自身、思い起こせば「小さな文字でも一応書いていれば後で問題にならないだろう」と言ってQ数をかなり落とした小さな文字で注意書きを読みづらくしてしまったり、「記載するスペースがないので今回はまあ割愛するか、こんなこと当たり前だと思うしな」などと本来なら記載しないといけないことを削ったりといったことをやってしまった記憶があります。こういうおざなりな考えでは最高の顧客体験どころか、ロイヤルティの低下を招いてしまうということを肝に命じておかねばなりません。

顧客の事前期待はとても単純。顧客は予期しない不快な出来事を嫌がる。顧客は何か特別な、驚くほどすばらしい体験を期待しているわけではない。むしろ、約束通り、自分の注文したとおりのものが不快な出来事やわずらわしさを体験せずに手元に届けられることを願っている。

自分が経験した企業の対応や公的機関の対応で、嫌な思いをしたことのバックヤードで本書にあるような方法論が取られていたら、どれだけ”あの”会社を、”あの”ブランドを嫌いにならずに済んだかと思ってしまいました。そういう意味では多くの企業が実践してほしいと切に願いますね。

本書を読むことで、例えば、製造、品質管理、営業、マーケティング、サービス、顧客対応といったそれぞれ部門において考え直したり、業務の見直しをできることもあると思います。
ただし、その環境や組織作りにはどうしても経営層や責任者、上級管理職といった層の理解が必要。このあたりのポジション、特に私はマーケティング部門の方、CMOというポジションの方に読んでいただきたいと。

本書に出てくるいくつかのキーワードの中でもっとも響いたのは、

「DIRFT(Do It Right the First Time)物事は最初に正しく実行すべき」

ですね。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、”鉄は熱いうちに打て”みたいなものだとも思うし、よく事件などで初動捜査が肝心などと言われるのと同じかと。
まあこの本は何度か読んで咀嚼していかないといけない一冊ですね。メーカー、小売、通販/ECなどさまざまな業種向けだと思います。