レスター・シティFC、史上最大のジャイアントキリングでプレミアリーグ初優勝

今朝早く飛び込んできたニュース、イングランドはおろか世界中のサッカーファンを勇気付けたものだった。イングランドプレミアリーグでレスター・シティFCが創設133年目で初優勝を飾ったのだ。
史上最大のジャイアントキリングと言われ、英ブックメーカーでは5,000倍という超大穴扱い。リバプールファンの私にとっても敵はマンUかマンC、チェルシー、アーセナル。老舗とは言え、昨季残留争いをしていたレスターをシーズン前に予想していた評論家は皆無だったに違いない。
ただ、今季のレスターは開幕からスタートダッシュに成功、優勝争い常連チームとは厳しい戦いをしながらも、下位チームから取りこぼしをしないという効率の良い戦い方でシーズンを終えたと言える。ただ、ジャーナリストの中には5節、6節あたりまで見たときに「今年のレスターはおもしろいぞ」と思っていた方も少なくはない。流石に優勝までは予想できなかっただろうけど。。。

さて、そのレスター、個人的にラニエリ監督はあまり好きではないが、今シーズンの選手集めと采配はミラクルと言える。一芸に秀でた選手をかき集め、出来ないことを捨て、出来ることを徹底的にやり続けるということに注力していたのだ。

ドリブルはとにかく上手いが、すぐ転ける選手、スピードはないがパスだけは上手い選手、ポストプレーはまったくやらないけどシュートの技術だけはずば抜けている選手、相手選手のボールを奪うことだけは誰にも負けない選手など。岡崎もその一人。器用じゃないが、誰よりもゴールに向かって走り、誰よりも汗をかく。
選手の弱点は本人ではなく他の選手の能力でカバーするという方針を貫き、選手は1年を通じてそれに応え続けた。

その中心選手の一人に日本人の岡崎選手(香川ではなく、もう一人の「シンジ」)がいたことも実に誇らしい。
あらためておめでとうと言いたい。

さて、こういうミラクルな優勝劇を起こしたチームにありがちなことだが、先述したレスターのチームビルディングを組織論とかマネジメント論として書く人が現れそうな気がするので、現時点で思ったことだけを先に書いておく。なでしこの佐々木監督しかり、ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ氏しかり。
レスターはイングランドのチームだし、日本人は岡崎選手しかいないので、日本人にとっての理論となると遠い気がするがまあそれはさておき。

会社組織でレスターを再現するとこんな感じになるのかな。
・報告書をまとめるのはド下手だが、数字分析力だけはピカイチなヤツ
・プレゼンは下手だが、コピーを書くのはめっぽう上手いヤツ
・上司からはいまいち信頼されてないが、若手のモチベーションを上げるのだけは上手なヤツ
・自分のスケジュール管理は杜撰だが、他人のスケジュールだけはマメに管理できるヤツ
・アイデアは豊富だが企画書に落とせないヤツ
とかとか。
レスター(ラニエリ)流に、個人の弱点を他のスタッフの能力でカバーする。
字面だけ読むと、会社組織でも通用すると思う。つまりは「役割分担」。こうした能力をまとめてチームの成果に結びつけるのがマネジメントなので、うまく回せることができればレスター流もアリなんでしょうね。

自分のチームを思い起こせば、確かにぼんやりではあるが、彼はこんなのが得意、彼女はこういうことが好きだといったことでやらせている面もある。すべてにおいてスペックが高い人なんてそうそういるもんじゃないし、レベル差はあれど、そういったチームビルディングになっているのかもしれないなあ。しかし、ついつい弱点を強化させようと指導してしまうのも事実。管理する方の器が重要なのかもしれないね。

ともかく、レスターファンは当分おいしいお酒が飲めることでしょう。
岡崎選手は良い経験をしたね。歴史に名を刻んだことになる。本当におめでとう。