1/16、昨夏引退発表していた一人のカリスマ社長が本当に潔く退任を発表した。
有言実行の表現者、ジャパネットたかたの高田明社長だ。
記者会見での声のトーンがふつうだったなどと低俗な物言いで書かれているが、そんなことはまったくどうでも良い。そんなことより、希代のカリスマが引退することを素直に寂しいと感じる。
ジャパネットたかたのことを今さら説明する必要はないだろう。長崎・佐世保のカメラ屋時代にラジオショッピングからスタートし、テレビショッピングに進出、折込チラシやカタログ→ネットと進み、全国全媒体をカバーする通販企業。家電系のみならず、今後はファッション、宝飾、食品なども強化とのことでもはや立派な総合通販。「ラジオ比率が1%になっても聴いている人にとっては100%だからラジオは辞めない」との発言は非常に高田社長らしいと思う。
ひとつ意外なことある。ジャパネットの売上はチャネル別比率で見ると、紙媒体の比率がもっとも高く、次いでネット、意外にもテレビはネットより低く3番目、そしてラジオの順。顧客層は8割が40代以上でネットは弱いはずと勝手に思っていたが、きちんと対策は進んでいたようだ。
2004年の顧客情報漏洩事件の際は、誠意ある謝罪とスピード判断により原因がわかるまで販売自粛(結果47日間自粛)、その間150億とも200億とも言われた機会損失も営業再開後は順調に回復。また、エコポイント終了の煽りでテレビが売れなくなり、業績が2期連続で落ちた後の2013年には白物家電に力を注ぎ原点回帰、ピーク時から600億も凹んだ業績をV字回復させた。こうしたことからも高田社長の経営手腕が並大抵ではないことはおわかりになるでしょう。甲高い声と佐世保弁のMCばかりが注目される人物ではないということだ。
そんな(個人的にも好きな経営者である)高田明社長が教えてくれたこと。できてないことばかりなのでこの際目指してみる。
- ライバルはAmazonでも楽天でもなく「過去の自分」という姿勢。
競争相手は関係ない。常に昨日の自分と戦うことで自己は磨かれると私も思う。 - スペックではなくベネフィットを伝え続ける
メーカーやブランドが伝えたいと思っているスペックは伝えず、(この商品を)使うことでどれだけ幸せになるか、どれだけ便利になるか、どれだけ周囲の方が喜ぶか、商品の持つ魅力とベネフィットを訴え続けるMCスタイルは本当に勉強になった。スマホもウォーターサーバも電子辞書も高田社長にかかればメリットしか感じられないw - 努力し続けて、夢はようやく叶う
高田社長のようにストイックにはいかないかもしれないが、いつまで経っても半人前の私もできることからがんばってみたい。 - 部下に夢を語る、こどもに夢を語る
高田社長流「オープンリーダーシップ」の根幹は「夢を語る」こと。 - 伝える力を養う
借りてきた言葉ではなく、自分自身の言葉で思いを伝えること。伝える力が消費を創る。高田社長らしい言葉だと思います。
高田社長を見ていて、皆さんがどんな印象をお持ちかわからないが、私は、この人は不器用で真っ正直な人なんだろうなあ、と勝手に思っている。根拠はまったくないが、台本なく即興であれだけエモーショナルに商品説明できるのは、入念に準備した上で語っていく器用さがなく、思いが言葉となって沸き上がるMCスタイルのほうが自身の伝える力が最大限に発揮できると考えているからに違いない。それはそれで器用に考えているということかもしれないが。
高田社長は経営からこのたび完全引退し、個人事務所をベースにジャパネットたかたをサポートしていかれるとのこと。ちなみに「AandLIVE(アライブ)」という社名は「あきら(A)は生きている」という意味だそうだ。実にユニークじゃないか。年に1度くらいは出演するのかな?そうならそれはそれで楽しみだ。
動画はGLOBIS福岡での講演から(GLOBIS TV)長いのでお時間のあるときでも。高田明氏の魅力(語り)が満載。