国産衣料品に高まるニーズ、国産比率は盛り返せるのか

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Photo:Lara Cores

1/15付日経の記事で「衣料、国産巻き返し」という見出しが気になった。本当に巻き返せるのか?考えてみよう。
記事を要約すると、
国産衣料の高品質は、国内消費者、訪日外国人からの支持も得、浸透しつつある。無印良品は国産スーツを販売開始、業界団体は「純国産」の認定制度を始めるなど、落ち込む衣料品の国産比率が盛り返す可能性あり。
バックデータとして、国内流通衣料品の国産比率は、20年前30%前後、今や4%を割り込む事態。

そりゃそうなりますよね。90年代後半から長らく続いているデフレはもう17〜8年ぐらい続いている計算になります。85年のプラザ合意に端を発した円高進行により、繊維産業の海外移転は進み、その上デフレ。コスト至上主義の生産計画に、海外(特に中国を中心とする)生産拠点との賃金格差、ファストファッションの普及により、とことんまで国内生産需要は縮小したと言っても過言ではありません。結果、国内を流通するアパレル製品の95%は海外生産品になったと。

下のグラフは、プラザ合意以降2010年くらいまでの繊維産業事業所数と従業員数の推移です。国内の繊維産業はこの30年近くで4分の1以下になってしまったということです。

繊維産業事業所推移

加えて、縫製工場や染工場などは若年層がおらず高齢化まっしぐら。未来につながるであろう「服飾/家政」を目指す専門学校の学生はこの30年で半減という現実。
国内生産がいいからと言われてすぐに対応できる世の中ではないはずです。原料、加工、仕上げ、さまざま工程で縮小と高齢化が極限まできている現実を考えれば、ちょっとやそっとの号令で国内生産が盛り返せるとは思えないですね。

ただ、盛り上げる人たちも出てきているのは事実で、だからこそ記事になっているのですが、日本の繊維産業が提供する価値はクオリティの高さにあることは周知の事実。昨年春にIVSのローンチパッドで入賞した、国内アパレル工場と消費者を直接つなぐ「ファクトリエ」のように、高品質/高付加価値を適正な価格で届けられる仕組みがもっともっと世に出てきてほしいものですね。そうすれば風前の灯となっている産業も表舞台に立てる気がします。そのために必要なIT技術やサービスに期待したい。

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