ギラン・バレー症候群になった日(9:退院)最終回

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11/27(木)2週間の入院生活が終了、退院することになった。
快晴。病室の窓から富士山が見えた。めでたい。
入居(?)したときは新参者だったが、出るときは最古参になっていた。
他の3名は私が入ったときと全く異なる顔ぶれ。とは言え私以外は自力で歩けない人ばかり。いびきの音だけはよく聞いたが顔はろくすっぽ知らない仲。

10時過ぎ、片付けが終わったころ事務の方が請求書を持ってきてくれた。その額を見て驚いた。これが俗にいう高額医療費か!100回は余裕で飲みに行ける金額だぞ。限度額適用認定証を早くもらわなくては。。。一時的とはいえ大きな額だ。カードで払ってポイント貯めよう、ととっさに思った。
翌週以降の予約を確認し、無事に手続きを済ませ、病院を出た。正面入口では赤ちゃんを抱いて嬉しそうに撮影している夫婦がいた。ご出産だったんだろう。これもまためでたし。

帰宅後すぐに着替えて駅にある丸亀製麺に行った。駅まで徒歩7分が遠い。倍以上かかって到着。退院後はうどんを食べようと決めていたのだ。
そしてここで最初の学習。この手のお店に行った方ならわかると思うが、まずはお盆を持って並ぶ。オーダーして出来上がりを受ける。私はうどんを渡されたときに腕が上がらないので受け取れない。しかも、うどんがのせられたお盆が重くて持てない。妻がいてくれて助かった。
席につき、食べようと思ったら、お箸で麺が食べられない。食べられなくはないが、掴んで持ち上げて勢い良くズルズル〜っといけないのだ。
病院では麺類なんて出なかったからわからなかったんだな。

病院という限られた環境にいると、行動も動作も限られる。退院後は日常生活に戻り、さまざまな体験をする。それを通して不便さと向き合いながら日々の自主トレをこなしていく毎日が続くわけだ。「やることすべてがリハビリ」と療法士が言ってたことを思い出した。

「大変なのはこれからだな」
うどんを食べ終わったときの率直な気持ちだった。

それでも「退院」したことでテンションは高かったと思う。食後の運動と少しウォーキングに出かけたり、どんなものは着られるか?ベルトは通せるか?ボタンフライのデニムは履けるか?などいろいろやってるうちにドッと疲れが出て、日が暮れる頃には寝てしまった。

夜、お風呂に入るとき、久しぶりに体重計にのった。入院前より5kg減。お!やったー!喜ぶのもつかの間、すぐに落胆に変わった。マジマジと自分のカラダを見たのだ。たった2週間で筋肉がなくなったのだ。
肩幅は狭くなり、腕は細く、胸板というものはなくなっていた。手首も一回り細くなり、例えるなら晩年のジャイアント馬場のような風貌といったところか。大腿部を見ても毎週走っていたとは思えないほど細くなっていた。
病院にいるときは気付かなかったな。。取り戻せるのはいつだろう。これがまた焦りにつながる。

退院後は週に2〜3回リハビリ通院しながら家では自主トレを続け、完全復活を目指している。
退院後も頭痛、背中、首、肩の痛み(筋通、神経痛)は12月中旬まで続いた。痛みは徐々に癒え、先週あたりからはなくなった。格段に過ごしやすくなった。

ふだん行っている自主トレメニューは、大きく分けて3つ。
・体力アップのための運動(ウォーキングとか階段の昇り降り)
・体幹を鍛える運動(軽い腹筋など)
・腕の筋力、肩の筋力を上げる運動(ゆるいチューブ使って)
どれも健康な方から見れば驚くほど軽い運動を10種類ぐらいやってます。

これらを体調をみながら組み合わせ、決して疲れが溜まらないようにやるようにと言われています。
が、少し動くだけでは物足りないから、ついつい過ぎる。(運動が)過ぎると必ず疲れと筋肉痛が出てしまい、しばらく何もできない。できないとストレスが溜まり、罪悪感が芽生える。退院直後はジレンマだらけ。自分しかわからないほんの少しの回復度を喜びながら焦らず腐らず進む。そういうものだ。

退院から26日。リハビリの成果もありずいぶん回復している。
右手親指と左足の親指には痺れが残ったままだが、慣れもあってあまり気にならなくなってきた。
体力面ではまだ少し不安はあるが、通常のスピードで歩くことはできる。握力もずっと左右ゼロ状態だったが、先週ようやく計測可能となった(右:8.1、左:5.4)。ペットボトルのキャップを開けるには15kgくらいまで回復が必要。

残る課題は肩、腕、手、体幹。
指先までピンと伸ばしたつもりでもこれが精一杯。親指から中指までは自由に動くが薬指と小指はまだ仲間外れな感じだ。100%じゃなくても90%まで戻れば何でもできるだろう。

hand

入院前の姿を取り戻す「完全」復活まではもう少し時間がかかるが、社会復帰までは見えてきた。

最後になりましたが、長い間迷惑をかけっ放しの会社のみなさん、わざわざお見舞いにきてくれた友人たち、心配のメッセージやお見舞いのメッセージをいただいた友人たち、激励の言葉をくださった方々など、皆さまからの一言一言に私は勇気をいただきました。本当に感謝しております。

近いうちにお会いしましょう!

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