検査が終わり、「ギラン・バレー症候群」と認定された後、さっそく病棟に移り、治療が始まった。朝、病院まで自転車で走ってきた私だったが、13時過ぎにすべての検査が終わり、病棟に運び込まれたころには立っているのもやっとという感じになっていた。「病は気から」なんて言うが、自分が難病にかかってしまったということに少なからずショックを受けていたに違いないからカラダも重いのだと思っていたが、実際はすごいスピードで病状が進行していたようだ。
治療は大量免疫グロブリン点滴静注療法というもので、いわゆる点滴。1クール5日間連続投与と聞かされた。それでも進行が抑えられなければ人工透析のような血漿交換になる可能性も示唆され、同意書にサインした。正直これはちょっと引いた。結局、後者には至らなかったが、即入院となった初日から苦痛の点滴生活が始まった。ベニロンという薬(2,500mg)を11瓶、その後ソルデム輸液500mgを2袋入れる。この日から5日間、8時間ぐらい点滴されることになる。
この病はいまだに原因がはっきりしていないため、特効薬というものも存在しない。本来自分のカラダを守るべき役割の抗体があろうことか自分の末梢神経を攻撃するという免疫システムの異常からくるもので、上述の処置で少しずつ元の機能に戻していくしかない。
早期に治療を開始し、進行を遅めることと症状の重さをできるだけ軽くするような処置しかできない。また、症状や後遺症、薬の副作用などは個人差があり、こうなったら次はこうなりますよ、なんてことは言えないのだそうだ。
私の場合はいったいどうなるのか、不安で仕方がなかった。点滴を受けながら寝ているだけだが、とにかく痺れ度合いが半端ない状態になっていることだけはわかった。
右手の親指と両足の指に至っては痺れが酷すぎて「じんじん」から「ズキズキ」に変わっていた。
夕方、尿意をもよおし、トイレに行こうと起き上がると目眩がした。実は一人でトイレに行ってはいけないと言われていたのだ。足の痺れがあり、転倒の危険性が高いからだ。こんな状態なのに転んで骨折なんてシャレにならない。病室内のトイレまでわずか2メートルくらいだが、ナースコールをし、看護師に付き添ってもらい、無事に用は足せた。
そろりそろりではあるが歩けた。初日夜、痺れはひどく、力がないが腕も動くし、指も動いた。このくらいで(進行が)止まるのか、明日はどうなってるんだろう?不安だらけの初日は過ぎていった。(消灯)