ちょっとした心遣いと提案でいっそう強くなるロイヤリティ:お肉屋さんからの一本の電話

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(Photo:Gabby Orcutt)

常連となっているお肉屋さんの対応に感激したので書いてみます。
常連と言ってもお店があるのは四国・高松。香川県内に3店舗ほど持っているのでまあまあ中堅といったお肉屋さんですね。きっかけは確か12〜3年前に知人に教えてもらって行ったこと。クリスマスのチキンとかチャーシューを買いにいったのだと記憶してます。
美味しかったのでその後も何度かリピート。

何度目かにしゃぶしゃぶ用にと豚肉を買いに行ったとき、「豚肉好き?」と聞かれ、「うん、美味しいのある?」と聞くと「薩摩美豚」という豚肉を教えてくれました。以降、我が家は豚肉と言えばこの「薩摩美豚」。しゃぶしゃぶのみならずとんかつ用も生姜焼きも何でもこの豚肉。とにかくあっさりしていて旨い。
あまりに気に入ったため、義理の父母や親戚にまで送ったりしていたほど。
それにお店に買いに行くと、いろいろお肉のことを教えてくれて、いつも買うもの以外の棚を見ているとほんの少し試食用に入れてくれたりするのです。

そんなお気に入りのお肉屋さんでしたが、一家は9年前から高松を離れることになり、お店に買いに行けるのは年に1度か2度帰省時にお邪魔する程度。あとは電話でオーダーしたり、私の母親が買いに行ったときに、うちの分まで送ってくれる、そんな付き合いが続いてます。最近は特に購入頻度、いわゆるフリークエンシーは落ちています。
まあ、顧客名簿持っていて、CRMを回しているという感じではないのでしょうけど、一昨日の夕方、そのお肉屋さんの女将さんから電話がありました。

突然のお電話だったので何だろう?と構えてしまったのですが、内容はこういうものでした。
「今夏はお見かけしてないから自分が店番してないときにお越しいただいてたならごめんなさい」というご挨拶から始まり、「実は大西さんにずっと気に入っていただいていた薩摩美豚の仕入れをやめることになり、きちんとそのお詫びがしたかった」という。「わざわざ、そんなのまた行ったときにお話してくれたらよかったのに」というと、「いえいえ、あんなに気に入ってもらってたのに申し訳なくて。」と。
まあここまでの電話でも結構ありがとうございますって言いたいものですが、女将さんは「これまでも扱っていた鹿児島黒豚の六白に加え、オリーブ夢豚を扱う予定です。大西さんの好みならこのオリーブ夢豚が合うと思いますので、一度お試食用に送りたいのですがいかがでしょうか。お代は要りません。それで気に入ってもらえたら次からはそのお肉でいかせていただきたいと思ってます。本当にこのたびは申し訳ないことを…」ということでした。

いかがでしょう。私は実に気持ちよかった。
接客のプロやCSのプロからすると、そんなの割と当たり前じゃないか、というご意見もあるかもしれません。
が、次に帰省した際、お店に寄り、いつものように薩摩美豚を注文して「ああ、あれはやめたんですよ」と言われてがっかりする、あるいはそれがきっかけで疎遠になる、そうして離反していくことを考えると、事前に常連に対して不利益を詫び、その上できちんと代替案を提案する。しかもそれがお味見(お試食)という形で無償で届く。悪い気はしませんよね。この一本の電話によって常連顧客は離反せず、もしかしたら落ちていたフリークエンシーも回復する可能性があります(客観的に述べてますがwww)。
最近はオンラインショップも始めてるみたいですが、このお店は女将さんがいる限り、直接行くか電話で注文を続ける気がします。

次回、帰省時にあの女将さんに会うのが楽しみになりました。

結果にコミットする加藤公一レオ氏「100%確実に売上がアップする最強の仕組み」を読んでみた

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本日もまたまた読後レビューをひとつ。
ネット広告&ネット通販の世界では知らない人がいないと思われるほどのマーケティング芸人・加藤公一レオ氏の8年ぶりの新刊「100%確実に売上がアップする最強の仕組み」を読んでみました。

本題の前に思い出話を。本人が覚えているかどうかわかりませんが、レオ氏と初めて言葉を交わしたのは2008年。福岡で開催された日本通信販売協会(JADMA)主催の通信販売基礎講座の会場。彼はまだADK九州に在籍していて会場に遊びにきていた(失礼w)と記憶しています。私は某通販会社を辞め、WEB制作会社でECコンサルの真似事をやりだしたころ。その日は「eコマースを成功に導く正しいSEOの考え方とは」なんてことを恐れ多くも喋っていたのです(怖)。そのころからたまにお会いして軽くお話したり、彼の講演を拝聴したりするぐらいの関係ではありますが、レスポンスの魔術師としての彼の実績と素晴らしさは十分存じ上げているつもりです。

さて、本書について。講演タイトルさながらの挑戦的なタイトル。なにせ「3年連続日本一の”レスポンスの魔術師”が2時間50万円のコンサル内容を初公開!」との触れ込みだもの。何のレースで日本一になったのかわからないし、素人が触ると間違いなく火傷しそうなタイトルです(笑)。
レオ氏の講演を聴いたことがある方が本書を読むと、感じると思うのですが、目の前でレオ氏が喋っているような感覚になります。学術書でも参考書でもなく、なんというかレスポンス広告の極意に関する事細かなインタビューに身振り手振りで答えているような光景が浮かんでくるのです。

冒頭からトップギア気味のテンションの中、なぜ今この本を書いたか、みんなが知りたい本当のことは何なのかを読者に問いつつ、その答えを惜しげもなく披露しています。そう。事業者で通販に従事する者やその上司、経営者はテクノロジーやトレンドを知りたいのではなく、どうすれば1円でも多く売上が上がるのか?なのです。
そのニーズに対して本書は、レオ氏が競合激しい九州単品通販業界の中で生き抜いてきたことすべて(ではないかもしれないが)をその答えとして正々堂々と述べている本といって良いでしょう。

本書は公開カンニングシートとしての役割を持つが、その「惜しげもなく」披露されていることは、逆にレオ氏に本当の商売をもたらすものだと思います。私は情報をオープンにする人にこそ真の情報が集まってくると信じているので、ノウハウをオープンにすることでレオ氏のもとには通販企業の真の課題や悩みが入ってくるのでしょう。

しかし、本書はほんとに良くできたカンニングシートだと。業界や商材によって多少チューニングはあるでしょうけど、ネット通販の場合、本質的なことは何ら変わらないので、これだけ細かい戦術が公開されていると、自分たちの環境に合わせていろんな実験ができますね。私もいくつかすぐに試してみたいことがありました。細かいことは本書を読んで感じていただきたいが、クリエイティブ最適化理論とメルマガではなくフォローメールの考えはみんな実践するべきですね。

最後の章(第8章)では「大成功する広告代理店とのつき合い方22か条」という、これまた既存代理店に喧嘩を売っているような内容が書かれているが、自分自身のことも懐かしみながら読ませていただいた。ここで書かれていることはすべてのパートナーとの取り組み方に他ならないと思います。

レオ節、十分堪能しました。「なるほど・ザ・レオワールド」といったところでしょうか。こういうのを読むとまたネット通販の世界が楽しくなります!

買う5秒前〜何がお客の背中を押したのか?〜レビュー

買う5秒前

指南役代表・草場滋氏の新刊「買う5秒前」を読みました。そそるタイトル!こういうタイトルに確実に弱い自分がいますねー。本書の中にもネーミングのくだりが出てきますが、タイトルって大事だなとつくづく思いますね。

さて、そんな指南役からの贈り物を読むのは「”考え方”の考え方」「透明人間の買いもの」「キミがこの本を買ったワケ」に続いて今回4冊目。読後は2007年に読んだ「キミがこの本を買ったワケ」の超進化版だと感じました。
「キミが…」も「買う理由」が満載でしたが、本書はこれまで考えられてきたふだんの購買動機に収まりきらない未知の購買動機を7番目の動機として6つに分類し、62もの買うシーンを取り上げて説明されています。この「買うシーン」に思わず「なるほど」と唸るものが多いのです。

プロローグに「読むだけの本ではなく使う本」とありますが、「今日の私の買い物は何動機だったのか?」を逆引きして、自ら納得するといった用途が浮かびます。家族の買い物にも興味深く話を傾けられるかもしれません(笑)。

あの買い物はいったい何がお客の背中を押したのか?
その答えは読んだ方がそれぞれ感じていただきたいと思いますが、私自身、6つの分類の中で「なるほど」と思ったシーンを挙げておきます。読まないとよくわからないと思いますがそこはお許しを。

“買う5秒前の心理1-『本能』

  • 彼女のマネをしたいワタシ
  • 頭文字Aに惹かれるワタシ
  • “10分”なら独占を許せるワタシ:ホイチョイ馬場氏の10分1,000円という理論に唸りました。ヒットの要因は10分という短い尺にあるということ。

“買う5秒前の心理2-『ソーシャル』

  • 小ネタが欲しいワタシ:モノを買う際にブログやSNS的におもしろいかどうかという視点。確かにありますね。
  • 一人の時間は好きだけどひとりぼっちは嫌いなワタシ:自分自身がそうですw
  • パンケーキが好きなワタシが好きなワタシ:これは恋している自分が好きと同じでしょうかね。

“買う5秒前の心理3-『逆張り』

  • “嫌い”が好きなワタシ
  • お祭り騒ぎが嫌いなワタシ
  • “一見、変わらないもの”に弱いワタシ

“買う5秒前の心理4-『ボーダレス』

  • ひとり時間が好きなワタシ:NHKきょうの料理のレシピ人数が少なくなっていることは目から鱗でした。
  • オタクに憧れるワタシ:誰しも潜在的にあるんだと思います。

“買う5秒前の心理5-『シンプル』

  • 目玉は一つでいいワタシ
  • いいネーミングに弱いワタシ
  • 歳時記が好きなワタシ
  • 理由を知りたいワタシ

“買う5秒前の心理6-『人間力』

  • 物語に惹かれるワタシ:コンテンツですねぇ。
  • 雑居ビルに惹かれるワタシ:アド街ック天国みたいな感じ。
  • 免罪符が欲しいワタシ:これはみんなそうだと思います。

本書を読んで、買い物後が楽しみになりそうな気がします。自分の背中を押したのは果たして何だったのか、考える機会が増えそうですね。もちろん、商品企画や販促企画、ECやWEBのコンテンツ企画など多くの企画仕事にも役立てたい!