Satoru ONISHI について

総合通販マーケ/EC→制作会社ディレクター/ECコンサル→文房具マーケ/EC→化粧品健康食品通販EC→専門業態店小売業のEC/CRM部門と流れてきてます。好物はもっぱらEC/通販界隈です。ECに関わるすべての人を幸せにしたい。座右の銘は「笑うてるヤツが一番強い」活動理念は近江商人の「三方よし」目下の目標は「心地良いショッピング体験」

シニア通販は「こだわりの大人女性」を狙いなさい!レビュー

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(Photo:Georgie Pauwels)

前回に引き続き、今日は高山隆司氏、山下幸弘氏の共著「シニア通販は”こだわりの大人女性”を狙いなさい!」の読後レビューをエントリーします。

本書を読む前に「こだわりの大人女性」って何だろうなあと考えました。まあタイトルに「シニア通販」とあるので、そっち方面の内容であることは確かなのでしょうけど、女性は皆、自分なりのこだわりを持っていて、それが齢を重ねるにつれ、いろんな変化をしつつも、結局は「自分らしさ」の追求につながっていくものだと思っています。

すでに訪れている少子高齢化社会の中、ますます複雑化していく消費社会において商売の柱をどう作っていくか。今後数十年の人口動態予測から見て、今まさにミドルからシニアの女性がターゲットとなることは火を見るより明かです。本書ではその消費のド真ん中にいる女性を「こだわりの大人女性」と定義付け、通販というビジネスモデルにおいて彼女たちと仲良く、居心地よく感じてもらいながら上手にお付き合いする方法は何かを論じています。
それは、ターゲット女性のライフスタイル、消費性向に始まり、商品開発のあり方、そして著者陣が所属する企業の中で行われているマーケティング手法など、通販ビジネスのビジネスロードマップが頭に入ってくるような内容となっていて、女性向けの通販やECに携わっておられる方にはおススメです。業務のTIPSなども書かれていますし、上司が通販を知らない!なんてお悩みの方にはもってこいかと(笑)。

すごく簡単に各章のサマリーを書くと以下の通り。
第1章ではターゲットとなる女性の消費性向やライフスタイルの変化をどう理解しておくか。
第2章ではその世代の嗜好の中身、美容、オシャレ、健康に関する商品開発のあり方。
第3章ではスクロールグループのそれぞれの事業体が行っている”こだわりの大人女性”との通販ビジネス的関わり方を披露。
第4章ではプロモーション事例と考察
第5章ではネット活用とファン作りの方法
前回レビューした「ネット通販は”物流”が決め手!」同様、通販の教則本と言える内容です。

タイトルこそ「シニア…」とありますが、実際は女性は皆こだわりが強い。中でも特に団塊ジュニアより上の世代は大量消費時代を生きてきた上に、本人や家族のライフステージの変化に直面してくると、こだわり方にも変化が訪れるものです。無駄な物欲はなくなり、むしろ「上質なモノを少し」という方向に移行し、お金の掛けどころが少しずつ変化し、心の満足を得る時間を消費するという考えに近くなる、ビジネスとして彼女たちと向き合うにもそういうことをきちんと押さえておかないといけませんよ、本書に書かれていることを要約するとそういうことでしょうか。

いずれにせよ、女性の消費は未来の自分への投資がメインですよね。そこはいくつになっても変わらないと思います。

ネット通販は「物流」が決め手!レビュー

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(Photo : konstantin.tilikin)

古くからのお付き合いでもある高山隆司氏の『ネット通販は「物流」が決め手!』を読みました。
通販業界の御大とかレジェンドとか呼ばれている高山氏の本著は、一言で言うなら「通販の教則本」といったところでしょうか。帯に「物流KPIでの経営改善、オムニチャネルまでネット通販”物流”におけるノウハウを解き明かす」とありますが、経営者やEC(ネット通販)部門の部門長クラスのみならず、流通、小売、メーカーの中で初めて通販チームを立ち上げたり、着任したりした方にとってもおススメの一冊だと思います。

ネット通販のノウハウ本は数あれど、運営ノウハウや販促面にフォーカスしたものが多いのですが、本書は通販がどういう仕組みで動いていて、その中の現場業務のキモはどこにあるか、大切にしなければいけないことは何かといったビジネスモデルそのものを分解しながらわかりやすく説明してくれていると思います。特に第3章のウェアハウジングの実像はこれからネット通販をやっていく企業にとってすごく参考になるでしょう。

私自身、14年間通販会社に在籍したこともあり、本著の内容から懐かしさや忘れていた点をもう一度思い出させてもらうことができました。物流戦略を(企業が)勝つためにやるという視点は大事だし、商材や成長フェーズによって物流面の攻め方が異なることなど、あらためて頭に叩き込むことができました。

また、顧客視点で見る「物流」は、単なる発送業務ではなく、大切なお客様との終着接点の演出の場であることの大切さを本書は示唆しています。お客様に本当に喜んでいただくために「物流」は存在し、その達成のためには多少細かいことも思われるかもしれないが、物流視点のKPIを持つこと。ここを見ることで健全な経営環境を目指すことができると感じた。

終盤章では、事例がいくつか紹介されているが、いずれのケースも単なるクライアントの紹介ではなく、物流面での付加価値創出による成功要因を記しています。自らの商材では何ができるだろう?何をすればいいのだろう?読みながら考える機会となりますね。

ネット通販の将来は…と、あらためて考えるまでもなく、すべての小売業や製造業が自ら消費者に商品を届ける時代がすぐそこまできています。本書は自社の成長ステージやリソースなどを考えながら一歩前に進むきっかけを作ってくれる一冊になるかもしれません。
自分にとっては今のタイミングで読めたのは良かったと思います。

2015春節が始まります

いよいよ明日2月18日から中国の旧正月にあたる春節の大型連休が始まります。円安元高の為替傾向に後押しされ、以前より日本への旅行は3割近く割安。中国から観光客が大挙押し寄せ、「爆買」と言われるような買い物三昧が予測されます。すでに前倒し訪日している方がかなり多いようで、銀座の往来の中国人比率はかなりの高さ。

小売業界はこのチャンスを逃すなとばかりにあの手この手で訪日消費(インバウンド消費)を取り込もうとしていますね。従来、小売業界には「ニッパチ(2月と8月)」と呼ばれる売上低調時期があります。ニッパチだけは何を工夫してもしょうがないと言われてたこの2ヶ月ですが、そのうち2月が「春節」によって業界の救世主になっているわけです。各社ともホントにアイデアを捻り出し、細かいところまで配慮しながらこの大商戦に臨もうとされてます。

情報バラエティ番組などでこの春節絡みの取材を見ていると、少し前よりはるかにスケールアップしているのがわかります。去年、一昨年あたりは炊飯器が流行ってる、美顔器が売れている。もちろんそういうのもしっかり売れているでしょう。家電量販、ドラッグストア、ドン・キホーテ、マツキヨなどの爆買の様子などは割と見飽きたような気がするのですが、キットカットを買い占めたりするのを見ると、ほんと何でもアリに見えてきます。今は温水洗浄便座が売れてるんですよね。インタビューで「三世帯で住んでるから3台買ったよ」という中国人がいましたが、便座3つ買ってどうやって持って帰るんだろうって思います。

また、訪日した際の買い物予算も今年は破壊力を増しそうです。少し前までは30万とか40万、多くて100万といった声がありましたが、今日見た番組では200万とか300万といった人がいましたね。デジタル一眼レフと周辺機器やグッズなどで合計160万円使った人もいました。あまり記憶が定かではありませんが、バブル期にイタリアやフランスに行って買い物しまくってた日本人の数倍もの破壊力かもしれません。。

なぜこんなに訪日中国人の消費が盛り上がっているのか。それだけはちゃんと押さえておきましょう。

  1. 円安元高
  2. ビザの発給条件が緩和されたこと
  3. 免税対象商品の拡大

あとは何でしょうね。中国人がお金持ちになってきたのはもちろん、日本製はやはり安心安全で高機能/高品質だということが一番でしょうか。私たち日本人はそこに慣れてしまってるのが恐ろしいのですが。

まあ春節絡みの桁違いの数字を見ているとなんだか疲れてきますが、桁違いの数字にも最近は慣れてきました。日本が潤うのはよいことですし、インバウンド対策をしっかり行って行くことはよいことだと思いますが、内需が苦しい状況を手放しでは喜べないのです。そのうち今回の春節の結果が報道されるでしょうからしっかりと追っていきたいものです。

みなさん、準備はいいですか?明日朝一番に中国語のPOPを掲出するぐらいはやっておきましょうねw