Amazon、折込チラシで秋セール訴求、はたしてその効果は?

Amazonの折込チラシ

Amazonの折込チラシ

10月08日、日経を広げたら写真の「Amazon折込チラシ(上部が表面、下部が裏面)」が丁合されていました。
「スポーツの秋 クーポン割引キャンペーン10/8〜10/10」
私は日経しか取ってないので、この日、他の一般紙に丁合されていたか、また、どのエリアに配布されていたかはわかりません。
昨年、プライムナウのサービス開始告知に折込を実施していたと記憶してますが、Amazon本丸の折込広告については初めて見ました。
※twitter検索すると10/07に福岡在住の方が折込を見たと発信しているのを確認。

今回の訴求ポイントは、以下の3点
・特選タイムセール(3日間24時間限定)
・数量限定タイムセール(人気商品が数量/時間限定のお買い得価格)
・クーポン割引キャンペーン(クーポンコードで15%OFF、プライム会員はさらに5%OFF)

そして、Amazonなので当然、サイトへの行き方を紹介。
1. 検索ワード:「アマゾンスポ秋」
2. QRコード
3. アドレス直入力
以下のページに誘っています。

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いわゆる通販系折込チラシとは異なり、注文受付専用フリーダイヤルの記載もなければ、切り取って使う注文ハガキ部分もありません。
ECなので当然と言えば当然ですが、徹底してるなと思ったのは、そのクリエイティブ。
Amazon内のページをそのまま意識していると思しき表現。チラシなのに「カートに入れる」ボタンがそのまま使われているところ。

amazoncart
思わず笑っちゃいましたが、Web(EC)であることをちゃんと表現するためにあえて使っているのだろうと感心しました。

それではいったいこのチラシの効果はあったのでしょうか?
ちなみに私は土曜日にこのチラシがきっかけになってランニングシューズを購入したのでそういう意味では1件レスポンスがあったことは間違いないです(笑)
冗談はさておき、いわゆる通販折込と異なり、チラシのクリエイティブは大人し目。
「50代の方へ」とか「〜が気になる方へ」といった呼びかけはなく、不満、疑問へのアプローチや注意喚起といったこともない。
どちらかといえばスーパーのチラシに似た「セール」の案内です。

それだけに、今後を考えてどういうテストをしたかったのか、興味がわきます。
また、日経だけだったのか、エリアは上述した通り、福岡でもチラシが丁合されていた?との情報もあり、どんなセグメントだったのか。

今回の仕様はA2サイズ二つ折り、これまでの通販会社の常識で考えるとするなら、折込チラシのテストは5万部からせいぜい10万部くらいの範囲。
仮に80,000部配布されたとしましょう。その場合、投資コストは印刷/制作費込で部単価7円くらいと考えると、56万円の投下コスト。

そして反応率。
いま折込のレスポンスはどのくらいでしょうか。
よく見る化粧品や健康食品の折込チラシに比べ、Amazonの場合は電話もハガキもなく、お客さん自ら能動的にWebを覗きにいかねばならないので、スマホがあるといえ、少し低めと考えていいと思います。

0.03%か、0.01%かまったくわかりませんね。
仮に数字を設定したところであまり意味はないのですが、0.01%として、注文に至るのは8人。
売上がKPIならこの施策は破綻してます。では、狙いがガチで新規獲得だとすると? CPAは70,000円となり、これも破綻。
LTVを考えても8人が運良く継続的にAmazonを使い、年間6回稼働したとして@5,000として24万円です。
というわけで、今回の企画、折込からWeb誘導で50代以上が反応するのか、など別のKPIがあったのでしょう。

ただ、ひとつ疑問だったのは、効果測定がちゃんとできているのかどうか。
今回のキャンペーンはクーポンコードが設定されています。
お客さんが注文時にコードを適用させると、キャンペーンの効果は測定できます。
が、今回のコードはオープンにされており、チラシを見なかった人もこのコードを見られますし、使えます。
つまり、この方法だとチラシだけの効果を特定するのはむずかしいということです。

通販会社であればエリアと媒体を識別できるコードを必ず運用するはずなので、どのエリアのどの新聞からとかどの広告からを計測するようにしていますが、Amazonがそれを実施していないのはなぜか、疑問は残ります。もしかすると私にはまったくわからないような効果測定テストの方法があるのかもしれません。

いずれにせよ、Amazonの折込テストはこれからも続くのでしょうね。興味をもってウォッチしてきたいところです。今回の結果も知りたい!

ちなみに私は土曜日の昼前にこのチラシきっかけでランニングシューズを探しましたが、最初に欲しいと思ったものはキャンペーン適用外。あらためてキャンペーン適用の中からもう一度探して欲しいものを注文。
夕方には到着。翌日曜にはジョギング。スポーツの秋もAmazonで満足というコピーを私が発信する。
チラシを見て、すぐに行動に移せば、運動会に履いていくシューズだって届いてしまう。
そんな顧客体験を提供できることを広めていくことこそが狙いなのではないかと今は思ってます。

顧客体験の教科書(読後レビュー)

8月に読み終えるはずだった課題図書『顧客体験の教科書』をようやく読み終えました。
著者はグッドマンの法則でおなじみの「ジョン・グッドマン氏」、和訳はラーニング・イットの「畑中伸介氏」

本書はサブタイトル「収益を生み出すロイヤルカスタマーの作り方」が示す通り、顧客体験価値をいかに高め、ロイヤルカスタマーを創るか、そのための戦略論や方法論をはじめ、企業が取り組むべきことが事例を交え書かれています。

私自身は、これまで総合通販、メーカー、制作会社、単品通販という立場でEC/通販の実務とマネジメントを経験しており、当然のことながらCRM、UX、UI、CSという各単語が持つ意味を理解して、実践していたつもりですが、カスタマーエクスぺリエンス(CX)という考えのもと、事業が担うべき方法論をインプットしたことはなかったので、とても勉強になりました。

かなり広範囲に問題を挙げられていますが、おおまかな説明だけに終わらず、どういう解決策が良いのか、失敗事例、測定指標の考え方に至るまで書かれているので、自社の課題認識をきちんと持った上で読んでみると実践に向けての準備がすぐにできるのではないかと思ってしまいます。

しかし、正直、本書で書かれているようなことが実践的できている理想的な企業はそうそう多くはないと思うし、CXに(考えが)向いてない企業の中でこのフレームワークを実践していくのは大変でしょうが、これを従業員が理解し、少しずつでも実践していくことで、企業(ブランド)と顧客の関係性は必ずや変わっていくでしょう。

私自身、思い起こせば「小さな文字でも一応書いていれば後で問題にならないだろう」と言ってQ数をかなり落とした小さな文字で注意書きを読みづらくしてしまったり、「記載するスペースがないので今回はまあ割愛するか、こんなこと当たり前だと思うしな」などと本来なら記載しないといけないことを削ったりといったことをやってしまった記憶があります。こういうおざなりな考えでは最高の顧客体験どころか、ロイヤルティの低下を招いてしまうということを肝に命じておかねばなりません。

顧客の事前期待はとても単純。顧客は予期しない不快な出来事を嫌がる。顧客は何か特別な、驚くほどすばらしい体験を期待しているわけではない。むしろ、約束通り、自分の注文したとおりのものが不快な出来事やわずらわしさを体験せずに手元に届けられることを願っている。

自分が経験した企業の対応や公的機関の対応で、嫌な思いをしたことのバックヤードで本書にあるような方法論が取られていたら、どれだけ”あの”会社を、”あの”ブランドを嫌いにならずに済んだかと思ってしまいました。そういう意味では多くの企業が実践してほしいと切に願いますね。

本書を読むことで、例えば、製造、品質管理、営業、マーケティング、サービス、顧客対応といったそれぞれ部門において考え直したり、業務の見直しをできることもあると思います。
ただし、その環境や組織作りにはどうしても経営層や責任者、上級管理職といった層の理解が必要。このあたりのポジション、特に私はマーケティング部門の方、CMOというポジションの方に読んでいただきたいと。

本書に出てくるいくつかのキーワードの中でもっとも響いたのは、

「DIRFT(Do It Right the First Time)物事は最初に正しく実行すべき」

ですね。言われてみれば当たり前なのかもしれませんが、”鉄は熱いうちに打て”みたいなものだとも思うし、よく事件などで初動捜査が肝心などと言われるのと同じかと。
まあこの本は何度か読んで咀嚼していかないといけない一冊ですね。メーカー、小売、通販/ECなどさまざまな業種向けだと思います。

通販/EC業界の売上ランキングを勝手に考察してみた

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7月に通販新聞社が発表した「第66回通販・通教売上高ランキング調査」売上上位300社のランキングのほか、通販の主力商材別の売上高調査も発表されています。ジャンルごとの数字を見ていて私なりに感じることをいくつか考えてみました(あくまでもすべて私見なので目くじら立てずにお読みください)。

元記事はこちら↓
通販・EC実施企業のジャンル別売上ランキングまとめ【最新版】

総合通販、上位の半分が減収。ここのプレイヤーはカタログ通販、百貨店通販、テレビ通販の大手群と生協。ここでの勝ち組は一応テレビ組、負け組は総合通販。総合通販の苦戦はいまに始まったことではなく、カテゴリーキラーの台頭とコンビニの成長とともに厳しい戦いを余儀なくされてきました。
ネット時代が幕を開けてからも、いち早くECに投資した企業でさえ、ネット専業の楽天市場やAmazonの思い切ったやり方には遠く及ばなかったというのが現実です。
私自身、総合通販出身者なので、自分がいた世界が縮小していくのは心苦しいのですが、百貨店が流通小売の中で苦しんでいるのと同じように総合通販もこの先もずっと苦しむ可能性は高いでしょう。以前のように大ヒット商品が出づらい環境ですし、戦う相手が多すぎるため、総合通販の立ち位置は本当むずかしくなりました。ここはものすごく原点に戻って創業時から何が一番の武器で戦ってきたのかに立ち戻り、イノベーションを起こすしか手はないのかもしれない。もともと数百万人規模の顧客基盤を持っている各社なので、どこかに絞った戦い方をすれば道は開けるものと思われます。

一方、少々飽きた感はあってもまだまだテレビ通販は強い。夜中に時間あたり数千万を販売するようなアイテムに対する目利きが保てる限り、まだこの枠商売には余力がある。各社ともECを強化しているし、動画を効果的に使うこともできるため、オンエアを見ていない視聴者にもライブ感を演出しながら買い物体験していただくことができるのは強い。
個人的には百貨店通販にまだおもしろい商売ができるのではないかと思っている。もともと目利きのあるバイヤーさんがいて(まだいるよね?)、友の会のようにシニア優良顧客をまだ抱えているため、ECと外商のシームレスな関係を築いて、チャネル間の社内評価システムをうまく構築できればまだ成長の余地はあるように思う。

続いて家電ジャンル。
ここの注目はなんといってもヨドバシの伸びでしょう。
日経ビジネスにも少し前にAmazonに対抗できるのはヨドバシか的な記事があったが、多品種化が奏功し、またインフラにも力を入れAmazonに負けじと成長しています。
ジャパネットはとにかく代替わりした旭人社長の手腕に注目が集まるところですが、同社の強みは先代社長が築き上げた「徹底した顧客目線からのバリュー訴求」にほかなりません。納入メーカーさえも見落としていた商品の良さや使い方を茶の間にわかりやすく伝えるということさえ続けていれば安泰かもしれませんが。
個人的には何度もお話を伺っているキタムラに注目しています。
基盤整備ができた上でマーケティングを考えるというスタンスで、自社店舗の持つ強みと役割を再考、お客様を最小単位から家族単位として考え、来店動機、目的、家族の成長などあらゆる場面において最適な買い物体験をどうすれば提供できるか考える、そこに同社のオムニチャネル化の真髄が見えてきますね。楽しみです。

次に家具ジャンル。
ここは私もあまり知らないゾーンですが、タンスのゲンは以前から上手な売り方しているし、ニトリは通販にかなり全力で向かっていく様子ですね。去年のリニューアル時の長い不具合は驚いたけど、インフラは整った感じなのでさらなる成長が見込めるのとニトリもオムニチャネルがひとつの目標になるのかな。
実績数字とは別に注目なのは、IKEAが通販に進出することでしょうか。
通販ではないけどUnicoのような専業社のEC進出もさらに増えてくるものと思われるし、ショールームからECへの流れはどこの企業も積極的にやってきそう。
また、家具は催事をやるケースも多いと思うが、催事こそ移動ショールームなのでコンバージョンをECで行うやり方なんかも出てくるでしょうね。ただし、いつも付きまとうのは社内の部門間の壁でしょうか。催事チームとECの評価方法なんかが課題になってくるかな。

次は日用品。
ここはもっとも「買う」お客様が増えている売上右肩上がりのジャンル。
次から次へと新サービスを立ち上げるAmazonの一人勝ちと思いきや、ロハコ、爽快ドラッグ、ケンコーコムもかなりの増加率、通販/EC市場全体の伸びからするとこのジャンルは別格に伸びているかもしれません。品揃えと買いやすさ、配送品質が命のような戦場ですが、ここのゾーンが増えるのはどこに影響を及ぼすのだろうか?スーパーの売上がここ数年停滞気味なのはECやドラッグストアの煽りを食っているに違いないでしょう。

あと発表はなかったけど化粧品、健康食品
ここはいうまでもなくレッド/レッド/レッドオーシャンカテゴリー。インフォマーシャル、新聞折込といったオフライン電話通販がメインでファンケルやオルビス、DHCといった大手を除くと意外にもEC化率はまだまだ低いのが実情。7月まで自分が所属していた業界なので無責任なことは言えませんが、各社とも創業あるいは成長期に事業を牽引してきた商品が一巡して新規顧客が取れなくなり、次のヒットを模索している状態の会社は多いはずです。こぞってCRMに注力し、周辺のツールベンダーさんたちもここの領域にかなり集まってきている。レッドだけに事業者も周辺企業も新規参入プレイヤーが多く、楽しく厳しい世界の様相。

独断で勝手なコメントしましたが、EC/通販は徹底的に便利か、そこで買いたくなる(あるいは買わざるをえない)お店かといった二極化になっていくのではないかと思っています。Amazonのように品揃えと徹底的に利便性を追求している企業はさらに成長。改革の手数は多いしスピードも早いです。一方、専門性の高いECはさらなる成長が見込めるでしょう。一例を挙げるとDIYの大都[DIY FACTORY]のような専門性とライフスタイルがうまく融合したようなEC。あとは物語のあるEC、ご存知「北欧、暮らしの道具店」のようなEC。あと、マーケットは大きくないもののディープなファンがいるブランド。店舗/EC/コンテンツの歯車がかみ合い、垂涎モノの商品供給をしていけばファンがとにかく後押ししてくれる。デザインフィルのトラベラーズファクトリーが好例だと思う。もう一度言いますが、徹底的に便利か、そこで買う(体験)することが楽しくて仕方がないサイトか、もしくはそこでしか買えないものがあるサイトか、そうしたことがEC/通販の成長につながると思います。